July 8、 2003 日本語版サイト http://www.rrcorp.co.jp/
英語版サイト http://www.upfrontezine.com/
今週号の内容:
*エディタから
*PTCとMSCの売上げ低迷
*読者からのレター
-コラボレーション
-DWFとAutodesk
-64ビット・コンピューティング
*プレスリリースのサマリー、及び他のレギュラー項目
エディタから
今週号ではコラボレーションとDWF/PDFに関して寄せられた読者からのレターをさらに紹介する。
コラボレーションに対して好意的なレターは、ベンダー以外からは一つも受け取っていない。upFront.eZineの読者はコラボレーションのソフトウェアを全然使っていないのか、それとも好きではないのか?
DWF/PDFに関しては、一つのコンセンサスが得られたと私は思う。
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DWFとPDFの両方ともそれぞれ特有の領域があるが、どちらかが必ず必要とされる訳ではない。
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両方ともビューファイルは無料。しかしどちらもファイル生成に関しては無料という訳ではない(DWFはAutoCAD購入が必要であるし、PDFはAcrobat購入が必要)。
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両方とも新しいリリース毎に機能を追加している。セキュリティが心配なユーザは一部機能をオフにできるが、どちらも受取人の意図的な改変に対しては安全ではない。
PTCとMSCの売上げ低迷
Parametric Technology Corpは、四半期収支のレポートを他のCAD会社に先駆けて最初に発表するため、CAD業界の天気予報官とも言える。悪いニュース:PTCの四半期売上げは引き続きの低落である。財務アナリストとの来週のコンファランスコールを前にして、第3四半期売上げが以前の予測よりも500万ドル減の1億6,500万ドルになる見込みと同社は発言している。PTCの総損失は増える見込みである。
MSC.Softwareからのニュースはさらに悪い内容である。同社は財務状況改善のために、ハードウェア事業部を廃止して社員数削減を図っている。同社の第2四半期売上げは、8,500〜9,000万ドルの見込みであったが、現在では5,900〜6,100万ドルを見込んでいる。意外なことだが、財務アナリストとの四半期コンファランスコールでは質問を電子メールでしか受け付けなかった。
読者からのレター
Re: コラボレーション
“コラボレーションをする人達と、コラボレーションを行うツールを提供する人達との間に存在する壁、それはお金である。
なぜ[フリーソフトウェアである]Volo View Expressは廃れたのか?お金のためである。無料のビューアーは悪くはない、しかしAutoCADの販売を新たに生み出しはしない。単にDWF出力をするためにAutoCADを購入する人はいない。
なぜPDFはここまで普及したのか? お金のためである。ビューアーは無料であり、それがライターの販売を生み出した。
なぜ人々はDWGやDGNファイルを配布するのを恐れるのか?お金のためである。お金を支払わずに作業コンテンツを誰かが盗むかもしれない。
自分達のデータを盗まないと信頼しきれない人達となぜ取引を行うのか?お金のためである。
そして、時は金なりである。紙のドキュメントの回覧時間を失くし、レビューサイクル時間を削減すれば、コスト低減にもなることを期待する。時間を節約するツールが無料でなければ、もしくは少なくとも翌日配達費用よりも安上がりでなければ、人々はお金を使う代わりに時間を使うであろう。
お金という悪魔を厄介払いしたいと切望している人は、そのお金を私の元に送付すべきである。私の人間性を犠牲にしても、その悪魔を取り除く方法を見つけてあげよう。ただ人類にとって良かれと思う心からである。”
- Calvin L. Smith, CAE
Software Analyst
Jacobs Engineering Group
エディタのコメント:“以前、次のように書いている人もいた。‘蓄積された時間は金なり。’”
“Dick Millerの投稿論説を面白く読ませてもらった。ソフトウェア購入を私に納得させようとして、営業社員が送ってくる詰まらない文言には個人的に侮辱された感じがする。私よりも賢いことを示すために用語や略語を考え付く必要があるのであれば、営業社員は販売のやり方を忘れてしまっていることになる。例えば、PLMとは何?
私は十分知的であり読解力もある。ソフトウェア会社は何故にそのような馬鹿げた言葉を作り出すのに熱中するのか?彼らはこの同じちんぷんかんぷんな言葉を株主年次報告書や保険勧誘文書などでも使う。我々の共通の言語で説明ができない物の購入を、何故に我々は拒絶しないのか?これが現在のリセッションの原因であるのかもしれない。”
- Richard C.
MacCrea
Mountain House Plans
エディタのコメント:“馬鹿げた言葉にはCAD販売の現在の低迷に関する責任の一端が本当にあるのかもしれない。今日リリースされた調査報告では、‘消費者は自分達が理解できない製品に投資はしない。多くの潜在的購入者はPC関連製品で使用される言葉に当惑させられている実情がある。’この調査報告は次のサイトで読むことができる。
http://www.pcworld.com/news/article/0,aid,111455,tk,dn070703X,00.asp
読む価値のある別の記事は‘Paradigm-shifts, benchmarking, synergy, envisioneering, leverage: Online jargon buster takes bull by the horns’で、次のサイトで読むことが出来る。http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/3014702.stm
私自身、毎週多くのプレスリリースをチェックし、苦労しながらその中から10程度の記事を選んでこのニュースレターに掲載している。私の選択基準は、(1)
私が理解でき、(2)
私が興味を覚える、の2つである。”
“25年間に渡る私の経験から、胡散臭さを感じたら手を出さないことにしている。”
- Val Campbell
Canada
Re: DWFとAutodesk
“貴誌の読者やベンダーのコメントから判断するに、ファイルフォーマットの有用性と制約について関係者の間に相当な混乱が存在している。DWFやPDFのようなテクノロジーがある特定の顧客ニーズの役に立たないからといって、その有用性全体が損なわれる訳ではないと私は思う。顧客は自分達の目的と期待度を現実レベルの範囲内に留めておく必要があるだけである。私はDWF/PDF論議の一つの視点であるセキュリティに関して意見を述べてみたい。
セキュリティを論議のポイントとすべきではない。ファイルフォーマットは顧客が期待する理想的な意味では、‘安全’ではなく、そうであることも出来ないし、決してそうなることもない。その対極にあるものは、すなわちFUD[fear(恐れ)、uncertainty(不確かさ)、doubt(疑い)]である。ベンダーはセキュリティという概念を売り込む。なぜなら、彼らは市場の大多数がそれを求めていることを知っているからである。
かなり前のことであるが、AutodeskディスカッショングループでPDFの安全性が議論されたとき、CADLockの社員が‘安全’なPDFファイルをいかに簡単に編集できるかをデモしてみせた。DWFをAutodeskが初めて出したとき、我々はDWFファイルをAutoCADにインポートするユーティリティを提供して、同じ事がDWFに対しても行えることを示した。
パブリッシング時に画層をオフにすれば二つのことが達成できる。ドキュメントに修正を加える障壁を作ることと、ソースファイルから何ほどかのインテリジェンスを取り除くことである。これらのことは有用で、それで十分なことも多いが、人々が‘安全’なドキュメントを配布する際に期待するレベルのものではない。
画層に関する問題はセキュリティに関してよくある誤解を示すものに過ぎない。何にでもトレードオフがあり、絶対的なものはない。‘セキュリティ’を求める不可能な探索行に脱線するよりも、置かれている状況の特定の必要条件を満たし、制限が許容範囲内であるソリューションを見つけ出すことを目標とすべきである。
画層を含むと否とに関わらず、肝心なことはPDFとDWFファイルはこれまでも常に簡単に変更できたし、そしてこれからも常にそうであろうということである。
率直に言って、ファイルフォーマットに関するディベートはデジタル所有権管理の問題についてのフラストレーションを示すものと私は思う。この問題は、消費者教育、政府の協力、及び業界参加(重要性の順)によってのみ本当に解決され得ると私は信じる。”
- Owen Wengerd, VP
Americas
CADLock, Inc.
エディタのコメント:“ディベートの方向を整理して貰ったことに感謝する。”
“この業界には既にHSF
[HOOPS Stream File]というオープンで、拡張性のある、無料のWebベースのファイルフォーマットがある。そのフォーマットはOpenHSF
Webサイト上<http://developer.hoops3d.com/openhsf/intro.html>に公開されていて、CADKEY、
SolidWorks、PTC、Dassault
Systems、Ansys等々の多くのCAD/CAM/CAEシステムでサポートされている。
Autodeskや他のCAD/CAM/CAEシステムは、独自フォーマットを推進するよりはHSFオープンスタンダードを取り入れることを考えるべきである。”
- Robert W. Bean,
CEO
CADKEY Corporation
“Autodeskが画層情報をDWFに取り込んでしまう件に関するAlec
Miltonのコメントは正しくない。新しいDWF
.pc3コンフィギュレーションファイル(‘デバイスとドキュメントの設定’と‘カスタムプロパティ’の所にある)を作成する際にPlotter
Configuration Editorを使えば、DWFファイルに画層情報を含めるか否かの切り替えができる。
個人的には殆どの場合、AutoCAD図面に対してはPDFよりもDWFの方が私は好きである。しかし実際は両方のフォーマット(DWFとPDF)を私は使っているし、今後もそうであろう。それぞれ色々の特徴を持っている。私から見れば、DWFをPDFへの置き換えにする積りはなく、ただ設計コンテンツをパブリッシュするときの別の選択肢として私のツールセットに加えているだけのことである。”
- Darren J.
Young
Minnesota CADWorks
エディタのコメント:“あなたの指摘は正しい。画層がDWFとPDF
v6ではオプションであることを先週私は指摘しておくべきであった。DWFユーザにとっての問題は、その設定がAutoCADの複雑なPlotter
Configuration Editorの中で‘隠されている’ことにある。”
“AutoCADも含め、多くのWindowsプログラムで私が問題なく使用してきたプログラムWin2PDF
<http://www.win2pdf.com/> を試してみることを薦める。価格は35ドル/シートで高くはない。”
- R.W.
Stephens
USA
“ファイルビューアー系列の別製品:CADWHIZというプログラムを見たことがある?価格は約40ドルで、受け取った.dwgや.dxfを開くのに、私の覚えている限り失敗したことはない。素晴らしいプログラムで、Volo
View Expressよりもはるかに優れている。”
- Jess Davis
Davis
Precision Design
Re: 64ビット・コンピューティング
“64ビット・ワークステーションに関するニュースを読んだとき、新しいApple G5が今週リリースされたという記事とどうしても比較してしまう。G5上で走るMac OS Xは約1,500ポンドで、このOSは32と64ビットのネーティブプログラムをサポートしている。
興味を覚えるのは、G5用に使用されたIBMチップがIBMのPower 4サーバーにも使用されている事実である。MacとPCがハードウェアレベルでついに同一化し始めたようである。
自分の懐具合から考えても、Itaniumチップが64ビット開発での主導権を握ることはないと私は予想する。何と言っても1ワークステーション当りの価格が最低5,000ドルでは!Appleは英国のCAD市場に対しては頑張っているようで、誰もがより高い相互運用性を求めている。二つのプラットフォームの統合が起こればいいのに!”
- Tim Robinson
Home Group
Ltd, UK
エディタのコメント:“Apple
(及びAMD)が、32ビット互換性を持ったコンシューマーレベルの64ビットコンピュータではIntelを打ち負かしていることを思い出させてくれてありがとう。HPのリストから洩れているCADベンダーのリストは興味深い。そのリストの社名は、Autodesk、Bentley
Systems、CADKEY、等々と続く。”
プレスリリースのサマリー
見落としていた人のためにCAD関連プレスリリースのサマリーを掲載しておきたい。
SolidWorksはSolidWorks 2004を出荷する。同社の主張によれば、特定のタスクに関しては競合他社よりも15倍速い。http://www.solidworks.com/
AVEVA (旧社名CADcenter)はVANTAGE Plant Design Management System v11.5を発表した。http://www.aveva.com/engineeringit/
SketchUp 3.0にテキスト、寸法、及び材質透明性が追加される(アップグレードは95ドル)。
Informative GraphicsはMYRIAD 6.1への“無料”アップグレードを提供している。MYRIAD 6.1はXGL、ZGL、Windows XP、Solid Edge v14、SolidWorks 2003、及びInventor 6をサポートしている。“無料”とは、年間メンテナンス基本料を支払うだけということを意味している。http://www.infograph.com/
Bentley Systemsは、建設シミュレーションと干渉チェックを行うEnterprise
Navigator機能を持ったAutoPLANT
Physical Plant Design 3.0 (旧製品名AutoPLANT
Plant Design Workgroup)をリリースした。MicroStationバージョンは現在でも入手できるが、AutoCAD
2004バージョンは今年の秋になる。http://www.bentley.com/plant
セミナーとコンファランス関連の情報
AEC Design Computingは10月1日〜2日にロンドンのロード・クリケット・グランドで開催される。http://www.caduser.com/descom03
人事関連の情報
AEC Systemsの新オーナーであるHanley-Wood ExhibitionsはBrandi Orgeronをコンファランス・マネージャーとして雇用した。彼女はこれまで医療業界でコンファランス運営や会合プランニングに携わっていた。
LMS InternationalはTilman
Schadを取締役に任命した。Dr.
Schadは元CoCreate
SoftwareのCEOであった。
新刊のCAD関連書籍
書名:"AutoCAD: Advanced Basics for the AEC Professional"
著者:John Hipskind
価格:US$21.95 http://www.rollingoakpublishing.com/
書名:"Doctor Walt's Solid Edge Assemblies"
著者:Walter Silva
価格:US$64.95
http://www.docwalt.com/SEBooks.htm
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