June 10、 2003 日本語版サイト http://www.rrcorp.co.jp/
英語版サイト http://www.upfrontezine.com/
今週号の内容:
*MoldFlowとMSCが面白い
*RandがPTCに対して訴訟
*Think3が語る
*エディタからの連絡
*プレスリリースのサマリー、及び他のレギュラー項目
MoldFlowとMSCが面白い
MoldflowとMSC.Softwareに関してはこのニュースレターにはあまり登場する機会がないが、今週二つのことが私の目を引いた。
一つはM-VoteというMoldFlowが実施している新しいオンライン投票システムである。特定ソフトウェアに関する機能アップについて顧客が投票を行う。もう少し詳しく言えば、サブスクリプションを払っているPlastic Insightの顧客を対象として、投票システムによって機能強化項目を絞り込み、コンセンサスを得るのである。
このやり方は極めて面白い動きだと思うが、一方では制約に関しての現実に疑問も抱く。この投票は“顧客からの機能強化リクエスト”のためであり、MoldFlow自身が計画している機能強化項目に関する投票ではない。他のユーザが作成した“トップテン”のリストを見るに、多くの票を得た改善項目が必ずしも現実化される訳ではない。投票自体が単純な投票集計を避けるような規制がされているとも私は感じる。
MSC.SoftwareはUniversal AnalyticsとComputerized Structural Analysis & Researchという競合会社を買収した後、潜在的独占に関してFTC(連邦取引委員会)との面倒に巻き込まれている。MSCとFTCは、EDSのPLM Solutions事業部がMSC Nastranの“機能強化、販売、サポート”を行うというライセンス(条件は公表されていない)に関しては和解を行った。
EDSはUnigraphics
NX、I-deas
NX Series、及びFemapが解析ソフトウェアと統合され、さらに他の製品はNX
Nastranにスタンドアローンモードでアクセスできると言っている。興味ある表現は“機能強化”という言葉であり、EDSが自身のテクノロジーをMSC
Nastranに付け加えることを意味しているのかもしれない。私の単なる推測ではあるが、ParaSolidカーネルに解析機能が付くのかもしれない。
RandがPTCに対して訴訟
Rand TechnologiesはPTCに対する訴訟を起こした。RandはPTCの最大のPro/Eディストリビュータであったが、最近になってPTCはディーラーネットワークの積極拡大に転じた。PTCは同社のCADソフトウェアPro/Engineerへの再注力と販売網の拡大によって利益を生み出そうとしてきた。
PTCによる一つの動きはRandとの販売契約を修正することであった。PTCは特定地域に関するRandの販売権利を制限して、販売契約期間を2年とし、2003年12月31日までに短縮した。
PTCが上記の変更を発表したとき、Randの黙認するかのような態度に私は驚いた。しかしながら5月31日には、Randはもはやナイスガイではなかった。Randの訴訟は1億ドルの損害賠償を求めるものである。Randが申し立てた具体的なポイントは次の通りである。
* PTCはRandの事業を破壊し、PTCのリセラーとディストリビュータとしての権利を剥奪すべく企てられた世界的なキャンペーンを行った。
*
世界中のPTCの社員とエージェントは、Randの顧客がPTC製品とサービスをPTCや他のリセラー、ディストリビュータから購入するように仕向けるべくデザインされたスキームに関連して、誤解を招く虚偽の発言を行った。
*
PTCは製品やサービスをRandの独占アカウントやテリトリーに不適切な販売を行った。
*
PTCはRandがPTC製品を売れないよう仕向けるために、北米、西欧、オーストラリア、及びアジアにおけるPTCリセラーとしての権利を剥奪すべく企てられた不正詐称を行った。
PTCの反論:“我々は申し立ての根拠がないことを信ずるもので、強い異議を唱える積りである。しかし現時点ではこの訴訟の最終判決を予測することはできない。”
関連したニュースであるが、Randは100%保有の子会社の一つをマネージャー達に売却する積りである。ドイツのRAND Technologies GmbHは183人の社員を抱えている。先四半期において、この子会社は1,440万カナダドルの売上げで、87万6,000カナダドルの損失を出している。
これも関連ニュースであるが、PTCはNeil
Mosesを新しくCFO(最高財務責任者)兼取締役副社長に任命した。Moses氏は半導体製造装置メーカーであるAxcelis
TechnologiesのCFOであった。
Think3が語る
Dan MeyerはThink3 <http://www.think3.com/>の新任のマーケティング担当副社長である。同氏は以前SDRC(EDSが買収)にいたことがある。先週Think3について語りたいということで電話が掛かってきた。MCADベンダーであるThink3は現在では自社をもはや“新規参入企業”とは呼んでいない。
機械設計とAutoCAD 2004との互換性を強調したThinkDesignのVersion 8.4は6月23日にリリースされる。Version 9.0は来年の第1四半期に予定されている。
小さな規模の会社にとっては急激な伸びの達成がより容易なことはさておいて、他の同業他社の多くとは違い、同社の販売が急激に伸びていることをMeyer氏は喜んでいた。これまでに5,000の顧客に43,000ライセンスを出している。非上場のこの会社は、直近の四半期で成長率68%(1年前に比べて)を達成した。
同社は再びフォーカスを変えつつある。同社がディーラーチャネル構築の試みに失敗したことを覚えている読者もあるかと思う(ディーラー経由での販売は世界中で15%以下である)。新たなフォーカスには二つある。一つは年間売上が5,000万ドルから1億ドルのレベルの中規模製造会社である。この中で、米国の8万社がThink3の顧客候補となる。
二つ目のフォーカスは、“単なるCADを越えた、総合的な製品ソリューション”としてのサービスの完全なセットの提供である。通常のトレーニング、メンテナンス、サポート、及びソフトウェアライセンス(ThinkDesignに対しては年間1,995ドルから)に加えて、リエンジニアリングのアシスタンスやアウトソーシングも含める予定である。
アウトソーシングは微妙な問題になりつつある。本国の労働者が仕事を失うことを意味するのでは?海外の労働者を搾取するのでは?賃金が先進国と同等になったらどうなるの?
<http://biz.yahoo.com/bizwk/030609/sb20030668575_1.html>
Think3が提供するアウトソーシング(インドをベースにした)は、仕事量が一時的に過大になったときのリソース補完のためであって、既存のエンジニアの解雇を意味するものではないとMeyer氏は強調していた。
Webベースの“My Training”はサポートを4つの言語で提供しており、各カスタマー毎にカスタマイズできる。Meyer氏の言によれば、顧客は新しいソフトウェアを3ヶ月で社内展開し、半年でコストを回収し10倍の生産性増大を達成することを願っている。
関連ニュースであるが、think3はD-CubedのCollision
Detection ManagerをThinkDesignソフトウェアに組み込む予定である。
エディタからの連絡
私が執筆した最新の本、“The Illustrated AutoCAD 2004 Quick Reference”、を丁度受け取った。このクイックレファレンスは800ページにも及ぶ本である。私の手元には12部の無料の本があるので、<https://www.paypal.com/affil/pal=ralphg@xyzpress.com>を経由するか、またはPO Box 3053, Sumas WA 98295-3053宛の小切手で、upFront.eZine に25ドル以上の寄付金を送ってくれた人には無料で提供したいと考えている。
upfrontezine.comを新しいWebホストに変更する作業は週末に行われた。先週も告知したように、一部のリンクは正常に動かないかもしれない。その場合は是非ともwebmaster@upfrontezine.com宛に連絡をお願いしたい。
プレスリリースのサマリー
見落としていた人のためにCAD関連プレスリリースのサマリーを掲載しておきたい。
Proficiencyは6月中旬にCollaboration Gatewayをv2.5にアップグレードする。このソフトウェアはCATIA、Pro/E、Unigraphics、及びI-DEAS間でのCADモデル交換を高い効率で行うことができる。http://www.proficiency.com/
約束どおりに、AutoPLANTが2003年9月までにAutoCAD 2004と互換性を持つことになるとの発表をBentley Systemsは行った。http://www.bentley.com/plant
AutodeskがMac OS Xに自社製品を移植するなどとは信じられないと前に私は言ったことがある。しかし読者の一人が次のようなメールを私にくれた。“Revit開発チームがOS Xへの移植開発を行ったことは確信できる。それはまだアルファの状態でもなく、この移植開発が今後どれだけ真剣に行われるのかは私には分からない。印刷のようないくつかの機能はMacプラットフォーム上で使えるようになるにはまだ道が遠い。”あるAutodeskの社員は< http://www.bluelinedesign.net/forum/viewthread.php?tid=7>を見るように薦めてくれた。見てみたが興味あるものは何もなかった。
General CADD Pro Version 2のベータ版は次のサイトで入手できる。
http://www.generalcadd.com/gcp200beta.htm
AxiomのMicroStation Productivity Toolkit for V8には、FileFixer、Global File Changer、Office Importer、Problem Element Viewer、RefMerge、SequenceEditor、SpellCheckerPlus及びVersion Managerが含まれている。http://www.axiomint.com/
自ら招いた共食いのケース:大手のケーブル会社に勤務している読者の言によれば、その会社はAutoCAD Release 14をLT 2004にアップグレードする予定である。その理由は、R14及びそれ以前のバージョンを未だに使用しているユーザに対しては、Autodeskがアップグレード価格を適用しないからである。
LZW圧縮に関する特許が6月20日に効力を失う。特許の所有者であるUnisysはこの特許を延長する計画は持っていない。LZWはGIFやTIFFを含むいくつかのグラフィックスフォーマットで使用されている。CNETの推測によれば、これまで特に人気も出なかった代替フリーウェアであるPNGはこれによって消え去る運命となる。
人事関連の情報
ElysiumはCecil Lewisを営業部門のマネージャーとして迎えた。Lewis氏は以前Translation Technologies Incの事業開発部門のディレクターであった。
LMS Internationalは新しい子会社NOESIS
Solutionsを発足させた。この新会社はProcess
Integration及びDesign
Optimizationと呼ばれるマーケットに注力する。[Noesisとは知性の機能である推論の実践を意味する。]
一見の価値あるWebサイト
Don Beatonからのメール:“Barbara
Streisandが教えてくれたニュースの中にあった興味深いサイトを紹介したい。”
http://www.californiacoastline.org/
ワシントン州の海岸線の写真は次のサイトにある。
http://apps.ecy.wa.gov/shorephotos/index.html
読者からのレター
Re: AutoCADベースのマッピングに関する助けが欲しい
“私はMapをテスト的に使用しているが、AutoCADの地図作成に関する役に立つヒントやチュートリアルはオンラインヘルプにあるもの以外には何も見つけることが出来ずにいる。あなたの方で何かこれまでに出版したものはあるか?それともこれはAutoCADの主要領域外のことなのか?”
- Nick Easton
エディタのコメント:“読者の中にEaton氏を助けてあげることが出来る人があれば、私まで連絡を願いたし。”
Re:
2004年5月
“本当に感動的なことは単に5万のビジター(おめでとう)があったことではなく、彼らの時空を旅する能力である。”[訳者注:先週号の“エディタからの連絡”の記事の中で、2003年5月と書くべきところを、原文では2004年5月と誤って書かれていた。]
- Peter Marks
Design
Insight
“何と、我々は既に未来に生きている! 貴誌が優れていることは分かっているが、時間旅行は私の想像を超えていた。”
- Glen Cameron
MicroSurvey
Software
“2003年5月と書きたかったものと私は確信している。過去最良の月であったことにお喜びを申し上げる。貴誌とあなたのWebサイトをいつも楽しんでいる。”
- John Bisschop
VECO
USA
“あなたが将来について楽観的であるのを知って喜んでいる。”
- George Berold
R&B
Mold & Die Design
エディタのコメント:“2003年という年はどうもうまく私の頭にインプットされていないようである。小切手にも2004年と書いたりしている。”
各国語版:
英語版(オリジナル版)
エディタ:Ralph
Grabowski
http://www.upfrontezine.com/
ポルトガル語版
エディタ:João
Brogueira <formacad@mail.telepac.pt>
http://www.formacad.info/
フランス語版
エディタ:Patrick
Emin <pemin@club-internet.fr>
http://minilien.com/?DPJwH1AeVP
日本語版
エディタ:大串康彦
<yasu@rrcorp.co.jp>
http://www.rrcorp.co.jp/
Entire contents copyright ©2003 by upFront.eZine Publishing, Ltd. All rights reserved worldwide. Article reprint fee: $500. All trademarks belong to their respective holders. "upFront.eZine," "Talking About Issues in CAD," and "On your desktop every Tuesday morning" are trademarks of upFront.eZine Publishing, Ltd. Letters to the editor may be edited for clarity and brevity. Opinions expressed are not necessarily shared by upFront.eZine Publishing, Ltd.